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事務所通信追伸

事務所通信追伸は、代表である平本が時事情報やその時感じていることをまとめたコラムです。
お客様企業や金融機関などへ事務所通信とともに毎月お送りしています。
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2022年6月号

 私どもの事務所全員で「私たちの仕事(に求められるもの)って何ですか?」というテーマのカードワークをしたことを先月号でご紹介しました。これには続きがあります。その時の成果物である模造紙のまとめからスタッフの採用基準を決めて、採用面接に使ったのです。

 一次面接を私と総務の白鳥が、二次面接を社員税理士の末道と巡回監査士のスタッフ1名がしたでのすが、目のつけどころ(基準)を揃えるためのものです。これもカードワークと同じく、事務所内の全員にアンケートをして、具体的には右のような「採用評価シート」なるもの作りました。

これ自体は簡単なものですが、この上には全員が各評価項目について具体的に何を重視するかを列記してあります。ですから、自分以外の人が例えば「主体性」をどう捉えているかが事前に認識できます。「共通の評価尺度を共有する」に近づける努力をしているのです。

 

このような採用基準であおば税理士法人に入社してくれたのが大天(だいてん)さんです。4月の中旬から早くも電話に出ています。今後ともよろしくお願いいたします。

あおば税理士法人

代表社員 平本久雄

 はじめまして、今年4月に入社した大天 理央奈(だいてん りおな)と申します。珍しい名字なので、「どこの出身なの?」とよく聞かれるのですが、生まれも育ちも岡山です。趣味は旅行で、美味しい食べ物を求めて散策するのが好きです。新型コロナの影響で今は難しいですが、もし可能ならば北海道に行って海鮮丼を堪能したいです。

 大学時代は経済学部で、会計学を中心に学んでいました。会計の知識を活かせる仕事で、慣れ親しんだ地元に貢献していきたいという思いから、ご縁もありあおば税理士法人の一員として働くこととなりました。仕事を始めて2週間近く経ちましたが、なにもかもが初めてで、分からないことばかりです。そんな社会人生活を送っていますが、現時点の自分に出来ることが何かしらの形で、お客様、ひいては地域社会の役に立っているのかなと思うと、日々の励みになります。慣れないことが多く不安を感じつつも、新しいことを知っていくのはやはり楽しいです。一つ一つの学びを大切にして、着実に成長していきたいと思います。


まだまだ未熟者ですが、これからどうぞよろしくお願い致します。

あおば税理士法人

大天 理央奈


2022年5月号

 あおば税理士法人では、時に応じて全員の共通認識を明確にする目的で「カードワーク」なるものをやっています。

 昨年4月には今春の新卒採用を決めました。するとスタッフが「採用基準を作るためのカードワークをしましょう。」と提案してくれました。そこで月一回の会議内で時間を作り、「私たちの仕事(に求められるもの)って何ですか?」というテーマでカードワークをすることにしました。


まず、各人が小さなラベル12枚程度に言葉を書きます。全員が書けたら、順番に説明しながら一枚ずつ大きな模造紙の上に置いていきます。その際、人の意見を否定しないのがルールです。関連するラベルは、取りあえずまとめて置くようにします。

こうして全員のラベルが出そろったら、本当のまとめをします。小分類、中分類、大分類と階層別にまとめて並べますが、各々のまとまりにはまとめる言葉をつけます。否定しないルールなので様々な意見があり、まとめるのは難しいです。しかし、まとめないと日々の業務で使えるものにならないので、まとめはとても大切です。みんなで一緒に考えます。(ただし、私はあまり口を挟まないです。)


 こうして完成品を見てみると、自分たちの仕事の本質をみんなで共感を持って共通認識することができます。このカードワークをするようになってから、事務所の雰囲気もとても良くなりました。


2022年4月号

日本の陽春とは裏腹なウクライナでの戦火を心から憂えています。ウクライナの人達に死も、死んだ方がましだと思うほどの苦痛も訪れないことを切に切に願っています。

 さて、福岡ソフトバンクホークスの王貞治会長は、巨人で長嶋茂雄と主軸をになった野球界のレジェンドです。(私は王選手の方が好きでした。)一本足打法で量産した通算868本もの本塁打数は米国のメジャー記録をも上回ります。今でもまさに「世界の王」です。


その氏へのインタビューが、225日の日経新聞に載っていました。超一流選手にもあったスランプへの対処法を訊かれての王氏の答えは……


「人生は円です。『えん』つまり『まる』。悪いときは円の一番下なのだと考えます。円は時計のようにぐるぐる回っていて、下にいたら、後は上がるだけ。悪い時こそヒントが見つかります。やり残したこと、見過ごしたことがないかと考えていると、一丁これやってみよう、とか。もがいて、もがいて、もがかなきゃ」

これを読んで私が思い出したのは、鎌倉円覚寺の横田南嶺管長が、若い頃の様々な苦労の中で思い起こした、師からもらった言葉です。

 「苦しい時は、今幸せの種を蒔いていると思うが好い。その種はやがて芽を出す。たとえすぐ稔らなくても、私の人生これでよかった。そんな思いを残してくれる。」(横田南嶺著「自分を創る禅の教え」より)

私は東日本大震災後のTKC全国役員大会で、横田老師のお話を聴く幸運に恵まれました。私の文章力では伝わりにくいとは思いますが、そのお話は説教じみたとことが微塵もなく、お言葉が穏やかな空気のようにすっと体に入ってきたのです。とても希有なお坊様です。



2022年3月号

近年「子どもや若者がキレやすくなった。」とよく言われます。また、スマホをよく使う子どもの方がキレやすいとも言われます。それは、ネットやゲームの世界では結果をすぐに手にすることができるからだそうです。

4歳児にマシュマロという報酬をもらう体験をさせます。今すぐほしいのであれば1個だけしかもらえません。しかし、15分待てば2個もらうことができます。どちらにするか、それを子どもたちに選ばせるのです。これは子どもの自制心を測る実験なのですが、長い年月をかけてその子どもたちのその後の人生を観察した結果、15分待てる子の方が人生でより多くの成功(幸福)を手にしていることが分かりました。自制心は人生にとって重要なものだったのです。

ところが、スマホはこの自制心をむしばみます。ほどよく使うことが肝要です。

そもそも近時は、我慢も忍耐も辛抱も言われることが少なくなりました。けれども、人が人であるためのアイデンティティー(自己同一性 identity)には欠かせない要素の一つだと私は思っています。

 さて、地元の岡山ではあるのが当たり前の後楽園ですが、江戸時代は「御後園」という名称で、それが明治4年に「後楽園」と改められました。それは「先憂後楽」という言葉に由来します。

先憂後楽には「常に民に先立って国のことを心配し、民が楽しんだ後に自分が楽しむ。」という為政者の戒めの意味もありますが、文字通り「先に苦労したり      

心配事をなくしたりしておけば、後で楽ができる。」という意味もあります。

 立春とはいえまだまだ寒く、コロナ禍の息苦しい日が続きます。けれども、暖かくなってコロナ禍も収まり、スマホを忘れ、後楽園で自然の美しさと「先憂後楽」の意味を味わえる日を楽しみにしています。   (岡山後楽園提供 初夏の延養亭特別公開)

(ちなみに、後楽園はミシュラン・グリーンガイド・ジャポンの三つ星を取得しています。)



2022年2月号

  


  

あけまして、おめでとうございます。今年こそコロナ禍が収まるよう祈っています。

 

 さて旧聞ながら昨年、プロ野球のヤクルトが20年ぶりに日本シリーズを制覇しました。(私は備前市出身の山本投手がいるオリックスを応援したのですが……)その陰に、最新の映像データ解析システムがありました。以下、129日の日経新聞から引用します。


 球団は昨季から、選手の動きやボールの軌道を数値化する映像解析システム「ホークアイ」を他球団に先駆けて導入した。(中略)球場に設置した高機能カメラがさまざまな角度から捉えた映像をリアルタイムで解析する。当初4台だったカメラは2021年から8台に増設された。

 現在、国内11球団が採用している弾道測定器「トラックマン」がレーダーを利用して球の動きだけを追跡するのに対し、ホークアイは人の動きを含む多彩なデータを取得できるのが特徴。投球や打球の速度、回転数などに加えて、投手が球をリリースする際の高さや位置も確認できる。

 (中略)打者や投手の骨格の動き、試合中の野手の移動も捉えられ、将来的には打球の追い方の修正など多方面での活用が想定される。米大リーグは昨季から全球団の本拠地30球場で導入した。ヤクルト投手陣の底上げに一役買った“秘密兵器“が国内でも浸透するかもしれない。


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 引用を終わります。「野球のデータ重視もここまで来たか」という感がしますが、ボールをお金、自球団の選手を自社の社員と置き換えると、データ活用の要諦が見えないでしょうか。

球やお金の動きを分析し、その動きを変えようと思っても、ボールやカネの動きは変わりません。ましてや、相手チームや競合他社の動きなんぞ変えようがありません。一番大切なのは、自球団の選手や自社の社員の動きをよく知り、その動きを変えることです。


 会計情報はお金で表します。そして、お金は人が動くから動きます。私どもの監査担当者が「売上高が3ヵ月連続で前年同月比を下回っていましたが、今月は前年同月の101%ですね。」と説明した時、仮に続けて「どうされたんですか?」と訊かなくても、自社の役員さん・社員さんの動きはどうだったか、お考えいただくといいと思います。

 今年も、皆さま方の継続的なご発展を切に願っています。





2022年1月号

  


  

11月上旬に総社市で、横断歩道を渡っていた母子4人が居眠り運転の車にひかれ、2人が重体になりました。同月の下旬には横浜市で、歩道上のバス停に並んでいた人の列に車が突っ込み、2人が亡くなりました。

 私は、父が横断歩道で暴走車にひかれて亡くなったので、横断歩道を渡るときは車の動きを見ながら渡ります。ところが、自分が運転している時に横断歩道を渡る人を見ていると、私と同じことをしている人は10人に1人もいません。

 皆さまにお願いです。車が赤信号で100%停まるとは限りません。ですから、横断歩道を渡る時は、是非とも車の動きを見て下さい。命は大切です。

 

 1113日の日経新聞「インフレと向き合う」から引用します。「企業物価は記録的な上昇局面にある。企業物価指数は10月に前年同月比8.0%40年ぶりの上昇率になった。エネルギーや金属・木材などが押し上げる。ところが、消費者物価の上昇率は0%台に張り付く。川下の最終製品やサービスまで値上げが広がらない。」

 「そこにあるのは賃金が上がらない日本が抱える構造問題だ。経済協力開発機構(OECD)によると、過去30年で米国の名目賃金が2.6倍になったのに対し、日本はわずか4%増にとどまる。賃金が上がらないために需要が弱い。企業は原料高を転嫁したくてもできない。利益が伸びず、賃金も上げられない。この循環から抜けられない。」

 最後の部分は、1118日の日経新聞「大機小機」につながります。「法人企業統計で確認すると驚愕する。2009年以降、売上高が増えず、売上高に対する付加価値の率も停滞している。かといって付加価値からの労働分配率はほぼ横ばい(以下略)」


 岸田政権の経済政策は分配重視のようですが、分配の元となる付加価値を増やさずして、分配が増える訳はありません。エコノミストの加藤出氏のかつての言葉「アベノミクスは政策の優先順位を間違えている。」はそのまま今にも当てはまると私は思います。

 言うまでもなく、われわれ中小企業も付加価値と賃金の双方を上げていく努力が求められています。しかし、具体的に何ができるかは、大変難しいと言わざるを得ません。

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  勉強不足の私が一つ思い出したのは、約25年前、東京同友会の「経営指針作成の手引き」にあったことです。そこには「値下げ競争はスケールメリットのある大企業ならさておき、中小企業はすべきではない。自社の独自性に磨きをかけるべきだ。」とありました。皆様方にはせめて自社の独自性への誇りだけは失わないでいただきたいです。 




2021年12月号

  


 衆議院議員選挙での選挙公約は、与野党とも分配政策ばかりでした。その公示前に矢野財務次官が文藝春秋11月号に発表した「財務次官、モノ申す」が話題になりました。

矢野氏は、国と地方の債務合計が1,166兆円に上り、国内総生産(GDP)の2.2倍という先進国でずば抜けて大きな借金にもかかわらず、さらに財政赤字を膨らませる「バラマキ合戦のような政策論」が行われていることに警鐘を鳴らしました。

 まず、その内容そのものの議論です。「国債が累積しても日銀が買い入れて保有すれば財政破綻は起きない。」また「金利が成長率よりも低ければ政府債務の国内総生産(GDP)比は上昇せず破綻しない。」という批判がありました。他方、慶応大学の小幡准教授は1016日の東洋経済オンラインで、「矢野氏の論考は主張というよりは事実であり99%正しいが1%は間違っている。日本財政は『このままでは破綻する』のではなく、『必ず破綻する。』」と断じました。

 次に、公務員が政策提言をすることへの議論です。高市政調会長は「大変失礼な言い方。ばかげた話」と批判しましたが、鈴木財務大臣は「今までの政府の方針に基本の部分において反するものではない。」と述べました。

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 私は、以上の何が正しいかより、国民も国会議員も財政問題の議論を避けるようになったことが最大の問題だと思っています。東日本大震災後の復興財源は、復興特別法人税と今もある復興特別所得税で手当てされました。コロナ禍対策の財源は国会で議論すらされていません。財政赤字をタブーとする圧力が最近10年で上がったと私には思えます。

1020日の日経新聞は、『与野党9党首がそろったTBSのテレビ番組で、ある大学生が「国の借金が当たり前のようになっていますが、そのツケが回ってくるのは私たち若い世代。誰が、いつ、どのようにお金を返すのか議論されていないのが気になっています。」と疑問を投げかけたが、各党党首からは明確な答えはなかった。』と報じています。

こんな重要な問題を普段から議論していないから、素朴な質問にまともに答えられないのだと私は思います。もちろん、われわれ国民自身が財政問題から目を反らしてきたのではないでしょうか。

大変に困難ですが、巨額の財政赤字を正視、議論し、何とか財政再建の道筋をつけ、そのためにも必要な行政、経済、教育、福祉などなどの思い切った改革を行うことで、未来への一筋の希望が見いだせるのではないでしょうか。また、その希望によって、企業も家計も経済活動は変化すると私は考えています。将来不安があるから、給付金をもらっても預金する国民が多かったような気がします。




2021年11月号

  


 先月号で、お客様の会社で社員さん向けの決算説明をする機会があったことを書きました。その時人に話をしながら、なぜ自分が税理士になったのか気づきました。

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 私は小学生の頃から習っていた算盤が性に合っていて、中学生の頃は岡山南高校の商業科に進もうと思っていました。しかし、友達のほとんどが普通科志望であることを受験1年前に知り、慌てて勉強して高校の普通科に入りました。

 その流れで大学に行くことにし、もともと商業科志望だったので商学部や経営学部を考えるようになり、その中でも算盤のイメージに一番近い気がした(完全に勘違いですね。)会計学科に進むことにしました。


大学生になってから「資格が取れたらいいか」位の気持ちで、会計士と税理士の違いを調べました。大雑把ですが、会計士は大企業がクライアントで主に都会で働く、税理士は中小企業がお客様で都会でも地方でも働ける、と理解しました。

大学が首都圏にあったので会計士になる同級生が多かったにもかかわらず、Uターン志向があった自分は税理士試験にトライすることにしました。もっとも科目別試験がうまくいかず、いったん6年間会社勤めをしましたが、結局は税理士になりました。

私が決算説明をしながら気づいたのは、自分が「中小企業が好きだったんだ。」ということです。その気持ちの元は両親に由来します。父は大企業勤めでしたが、作業着を着て仕事をしていました。母は、昨年12月号に書いたように、農機具工場の臨時工として働いていました。だから、そんな作業着姿で働く人から遠くない場所で働きたいという気持ちがあったことにその時気づいたのです

両親にお礼を言おうにも既に亡くなっています。もっとも、生きていても照れくさくて言えなかった気がします。身近な人に大切なことが言えていないことはある、と今さらながら思います。



さて話は変わって、岸田内閣が発足しました。総裁選では候補者全員の政策がいわゆるバラマキだったと私は認識しています。しかし、安倍さんも菅さんも日銀まで巻き込んでのバラマキを繰り返しながら、経済は一向に改善せず、財政赤字だけが積み上がりました。消費に制限があるコロナ禍の中では、バラマキは余計に効果がありません。

給付対象は被害産業と生活困窮者に限定し、医療体制の充実や営業指針の策定など真のコロナ感染対策に集中してほしいと願っています。それが一番の景気対策でしょう。


 




2021年10月号

  

 先日お客様の会社で、社員さん向けの決算説明をさせてもらいました。そういう場で社員さんから積極的に発言や質問が出る空気は少ないです。しかし、過去の経験では年数の長短はあっても会社の業績にプラスに働くことが多かったです。

なぜかと言うと、中堅中小企業でそういうことをされる会社は少ないので、社員さんが「当てにされている」と意気に感じてくれるのではないかと私は思っています。

また、社長さんの意識も変わります。その日の社長さんは終了後、私どもに「毎年これ(社員さん向けの決算説明)があるから、ぶざまな数字は出せない。」とご自分自身に言い聞かせるように話して下さいました。とてもいい表情をされていました。

もっとも、社員さん向けの決算説明をするには、社員さんにある程度の意識レベルがあるのが前提で、その辺りをよく見極める慎重さは必要です。社員さんの職種や勤務形態によっては必要ないこともあります。ですから、何が何でもという訳ではありません。

 

さて、その時は担当の決算説明が完璧で、私はあまり申し上げることがなく、中小企業憲章(2010年閣議決定)の話をさせてもらいました。私が大好きな基本理念の冒頭を以下引用します。


「中小企業は、経済やくらしを支え、牽引する。創意工夫を凝らし、技術を磨き、雇用の大部分を支え、くらしに潤いを与える。意思決定の素早さや行動力、個性豊かな得意分野や多種多様な可能性を持つ。経営者は、企業家精神に溢れ、自らの才覚で事業を営みながら、家族のみならず従業員を守る責任を果たす。中小企業は、経営者と従業員が一体感を発揮し、一人ひとりの努力が目に見える形で成果に結びつき易い場である。」


引用を終わります。中小企業憲章は中小企業の理想的あり方だけではなく、それが存続・発展していく王道を示したものだと私は考えています。そして、その一番大切なものは、文中の「一体感」ではないかと思っています。この一体感なくして中小企業の強みは生まれにくいです。この一体感こそ、大企業のスケールメリットに対する中小企業の「スモールメリット」だと私は信じています。


なお、中小企業基本法の公布施行日である720日は「中小企業の日」です。中小企業の存在意義と魅力等について正しい理解を広めるために2019年に設けられました。






2021年9月号

    


 今年度の税制改正で、電子帳簿保存法が見直され、訂正削除の履歴保存を要件としない電子帳簿(一般電子帳簿)が認められました。遡って訂正や削除をした場合、その履歴を残さなくてもよいのです。この背景にはDX(デジタルトランスフォーメーション)推進があります。

 確かに電子化の推進は必要ですが、TKC全国会も私どもも、これは改正ではなく後退だと考えています。なぜなら、訂正や削除の履歴を残さないと、帳簿の証拠力が高まらないからです。


 では、なぜ帳簿に証拠力が必要なのか? 主に次の二つの側面があります。


第一に帳簿は皆様方の会社を守ります。日本の税制では、帳簿に証拠力を認めています。

法人税法130条を要約すると、「帳簿書類を調査し、誤りがあると認められる場合に限り更正(税額を是正)できる。」となります。この「誤りがあると認められる場合」とあるのは、帳簿がありさえすればいいのではなく、正確な帳簿が求められるということです。

訂正や削除の履歴を残さなくてもいい帳簿では、その証拠力は高まらず、税務調査で調査官が感じる帳簿への信頼度は違うはずです。


 第二に、先月号で申し上げたように、適時かつ正確な帳簿は事業の継続と発展に役立ちます。しかし、証拠力が高くない帳簿では、正確な業績の把握は難しくなります。

 極端な例ですが、いわゆる二重帳簿をつけている経営者と話をしたことがあります。「危険だなぁ」と思ったのはもちろんですが、その人が自社の経営状況をほとんど理解していないことに驚きました。(数年後に通りかかったら、そこに会社はなかったです。)

 帳簿の証拠力は第三者だけでなく、自社のためにも必要なのです。


 さすがに上記の第一の理由から、皆様方に提供している電子帳簿は「優良電子帳簿」として、訂正削除履歴を残さない一般電子帳簿とは区別されることになり、法人税や消費税の過少申告があった場合、通常515%の過少申告加算税が5%に軽減されることになりました。(ただし、重加算税の対象事案を除きます。念のため……)


 今後とも、皆様方とともに「優良な電子帳簿」を作成して参ります。




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 話はまったく変わります。神戸の恩人に毎年桃を送っていますが、その人からのメールに「桃が昨日届き、さっそくいただきました。みずみずしく、大変おいしかったです。嫁さんが改めて剥き方を調べて、アボカドのように半分に切って種をくりぬいて一切れずつにした後で、皮をむいていました。果汁が残ったままでしたので大変よかったです。」とありました。

 家内が試してくれましたが、このやり方の方が確かに美味しいです。フルーツ王国の岡山に住んでいるのに、まさに「目からウロコ」でした。知らないことは多いです。





2021年8月号

  

 私どもはお客様に、日々の正確な会計データ入力をご指導申し上げています。これは会社法432条に「適時に正確な会計帳簿を作成しなければならない。」とあるからです。

しかし、そこには「法令を遵守しましょう。」より、もっと大きな意味があります。


この記帳義務規定を世界史の視点で見ると、1674年フランスのルイ14世商事王令に由来します。当時のフランスでは経済の衰退に伴い、破産や詐欺破産が社会問題化していました。財務大臣のコルベールの命を受け、破産者の調査をした学者のサヴァリーは、ある共通点に気づきます。


それは、破産した者の会計帳簿の記帳は、たいていの場合いい加減ということです。


偉い!と私が思うのは、サヴァリーのマイナスからプラスへの思考転換です。彼は「では、破産を防止し、むしろ商売を発展させ、本人も国家もよくなるために、記帳を義務化しよう。」と考えたのです。

(日本の道路交通法には「最高速度を超えて進行してはならない。」とありますが、「最高速度以下で進行すれば、目的地に安全にたどり着けますよ。」とも言っていると私は思います。)


こうして、世界で初めての商業帳簿規定である商事王令の第1条に「卸売並びに小売を行う商人は、帳簿を備え、これに一切の取引(中略)を記載しなければならない。」と書かれました。(ちなみに、当時は記帳を始める前に、まっさらの帳簿を教会に持って行き、「私はこの帳簿に真実を記載します。」と神に誓ったそうです。)

                                                       (ジャック・サヴァリー)


サヴァリーは「資産、負債について作成する財産目録によって、自己の営業成績が芳しくないことを知るに至った人たちは、そのような状況を知らない場合に比して、はるかに容易に対応策をとりうることもまた本当である。」と語り、「自分自身に説明し報告すること」の大切さを訴えています。



国税庁の令和元年度分の会社標本調査では、欠損法人割合は61.6%でした。ところが、私どものお客様では、その61.6%以上が逆に黒字です。これは、皆様方の経営努力はもちろんながら、ご自身の会計的状況を自己報告・検証されていることが寄与しているはずです。


私どもがお客様に、破産などもってのほか、継続・発展していただきたいと切に願い、日々の会計データの入力(記帳)を愚直に訴えているのは、以上のような背景があるからです。





2021年7月号

  

20代の頃に無能唱元(むのう しょうげん)氏というお坊さんが書いた本を読みました。ところが、僧侶にしては型破りすぎて、あまりついて行けませんでした。

しかし、60代ともなると「理解不能な部分があっても全否定はよくない。」と思えるようになりました。そして、氏のことを思い出し、別の著書を読んでみました。やはり「それは違うよなぁ。」という所はあるのですが、「そうだよな。」と思える所も多々ありました。


最も印象に残ったのはある人生相談の話です。登校拒否の中学生男子の母親から無能和尚が相談を受けました。ありとあらゆる努力をしても自室に閉じこもったままの息子に父親も母親も疲れ果て、家庭の中は暴力こそないものの暗く険悪な空気に満ちていました。


母親の話を聴いた後で和尚が話した言葉は、なんと「諦めなさい。」の一言でした。人づてにわらにもすがる思いで相談に来ていた彼女は、目を三角にして怒ったそうです。その母親に和尚が放った二言目は「あなたの家庭で一番大切なことは何ですか?」です。戸惑う彼女に和尚は続けます。「家庭は平和が一番でしょう。家族みんなが笑って暮らすこと、これが最も大切ではないですか。それに比べたら学校に行かないことはいいじゃないですか。」


その母親はさすがにすぐには納得できませんでした。しかし、結局は和尚の助言の通り、学校に行きなさいとは一切言わず、家で一緒にテレビを見たりして、とにかく怒らず、笑える時は笑うようにしました。

そうしたら、二ヶ月もたたない内にお子さんは「僕、学校に行く」と言い出し、その後高校受験にもチャレンジすることにしました。


 この話は「肩の力を抜いたら思う通りに動いてくれた。」ではありません。「家庭は平和が一番」だから「ずっと登校拒否でもそれを受け入れる」ということです。

 要は一番大切なことを一番に大切にするということです。一番大切な「家庭の平和」より一番大切ではない「学校に行く」を優先させたから、その家庭はおかしくなったのです。


 私はお恥ずかしながら開業して6年間も赤字で、借入金もここに書けないくらい多かったです。(今ではおかげさまで実質無借金です。感謝。)子煩悩なのに子どもと晩ご飯を一緒に食べられるのはほぼ土日だけでした。今でも後悔しています。


 真理は普遍です。今回の話は会社でも同じだと私は考えます。皆さんは会社で一番大切なことを一番大切にしておられるでしょうか。経営で「何が一番大切か」は家庭以上に難しいです。(必ずしもお金とは限らないような気がします。)