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 あおば税理士法人

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事務所通信追伸

 事務所通信追伸は、代表である平本が時事情報やその時感じていることをまとめたコラムです。
 お客様企業や金融機関などへ事務所通信とともに毎月お送りしています。
 事務所通信は、税法はもちろん、経営・人事労務などの最新情報をタイムリーに掲載している月刊誌です。ご購読をご希望の方は、事務所までご連絡ください。年間購読料2,400円(消費税等別途)でお送り致します。

2020年11月号

 

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 野球のダルビッシュ有投手が、大リーグで最多勝を獲得しました。日本人初です。「ハーフですが、気持ちは完全に日本人なので、日本人として嬉しく思います。」とコメントしていました。

 私はこのコメントに、と言うより、彼に「ハーフですが」と言わしめる空気感にやや違和感があります。ハーフだろうがなかろうが、同じ日本人だし、ましてや人の上下はあり得ないです。

 むしろ、ハーフの方が秀でているのかもしれません。高校の時の国語で「混血は純血より優れた能力を持つ可能性が高い。」という一説を読みました。また、世界史では「(一時はヨーロッパを支配したと言っていい)ハプスブルグ家は、純血主義による近親結婚で凋落した。」と学びました。

 ダルビッシュ有投手も、全米オープンテニスで優勝した大坂なおみ選手も、胸を張ってほしいです。


                                      あおば税理士法人

                                        代表社員 平本久雄

  

 今年9月に入社した、安藤悠佳(あんどう はるか)と申します。

 生まれは県北の津山市で、大学から岡山市在住となりました。大学を卒業後は岡山の金融機関に勤務し、そこでは、社会人の基礎からお客さまの大切なお金を守るための知識まで様々な事を学びました。前職では多くのお客さまと関わらせていただきましたが、私の上司の口癖は「自分の両親や兄弟にも胸を張って勧められる商品の提案、プランの作成をしよう!」であり、私もそれだけは常に守り、お客さまと接していました。お客さまのニーズを丁寧にお聞きし、お客さまごとに最適な提案を考える…どんな仕事でも必要で、お客さまとwin-winな関係になるためには外せない一歩なのではないかと思います。また、その社会経験を通じ、前向きであること、ひたむきであること、誠実であることが、社会の発展に寄与する企業で働く上で不可欠であると感じ、そのような人間になれるよう日々努力をしています。


 この度は、あおば税理士法人にご縁があり入社しました。これから、業務に必要な知識を習得し、一日も早く一人前になれるよう日々精進して参り、いずれ皆さまのお目にかかれる日が来ることを心より願っております。今年は新型コロナウイルスなどの影響で大変な日々をお送りのことと存じておりますが、皆さまにおかれましては、どうぞご自愛ください。かく言う私も食べることが好きで、趣味の料理を家で作っているのですが、たまには、皆で外食もしたいな…と、一日も早くコロナ収束後の世界を願っています。


あおば税理士法人    

                                        安藤 悠佳  


2020年10月号

  




35年前の812日に起きた日航123便墜落事故は、その2か月前に交通事故で父を亡くした自分にとって、いまだに心に残るものがあります。ネットで見つけた上毛新聞(群馬県)の記事から引用(一部改編)します。



35年前、当時17歳だった東京都の木内志津子さんは、自宅で受験勉強中に事故を知った。犠牲になったのは大阪府の高校生 木内静子さん(当時17)。友人と神奈川県内を旅行し、帰る途中だった。ニュースの字幕の同姓同名「キウチ シズコ」を見て、志津子さんは眠れないほど動揺したという。

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 「人生を歩みたくても歩めなかった同い年の女の子がいた。」毎年の命日には手を合わせて祈り、事故の写真展も見に行った。ずっと静子さんや家族のことが心に引っ掛かっていた。
 2005年、志津子さんは偶然、静子さんのことを伝える新聞記事を見つけ、それから5年後に思い切って静子さんの母親に手紙を書いた。手紙や電話での交流が始まった。静子さんはチェッカーズの藤井フミヤさんや事故前年に発売された菓子「コアラのマーチ」が好きだったと知った。血のつながりはもちろん、面識もない。それでも志津子さんにとって第二の家族のような存在になっていった。
 4日。志津子さんは濃緑に包まれた登山道で尾根を目指した。10年ほど介護してきた両親をみとり、初めて慰霊登山を決めた。墓標を前に35年分の思いを伝えた。「落ち込んだとき、めそめそしたとき、静子さんの存在がいつもそばにありました。静子さんの分まで強く生きていきたい。」涙ながらに「コアラのマーチ」を供えると「やっと会えた」と表情を緩ませた。
 静子さんの家族は事故の翌年、大阪府から群馬県の沼田市に移住した。毎年、誕生日のある5月と命日の812日には慰霊登山を続けてきた。母親(74)は「今でも夢に出てきてほしいと思うほどかわいかった。事故から35年がたっても思いは同じ。しーちゃんに会いたい。」最愛の娘を失った苦悩は今なお消えることはない。それでも、静子さんを思い続けてくれる志津子さんの存在が一筋の光になってきたという。
 母親は「しーちゃんをずっと思ってくれる志津子さんの存在はありがたい」と語った。来年は、夫婦と志津子さんの三人で、御巣鷹山に登る。


 引用を終わります。文中に「血のつながりはもちろん、面識もない。」とあります。それでも、二人のシズコさんはつながっている。この人と人の不思議なご縁を、コロナ禍で人と人のつながりがますます薄くなっていく中で、大切にしたいと私は強く思います。




2020年9月号

  

コロナショックが続いていますが、税理士の私は、日本の財政状態も気になります。

 74日の日本経済新聞のコラム「大機小機」では、「タガが外れた財政のツケ」と題して、財政の均衡化への努力を訴えています。

 6月に32兆円もの第2次補正予算が成立しました。4月の第1次補正予算と合わせると50兆円を超え、その大部分が国債発行で賄われます。

 コラムは「現在の政権は、いくら国債を発行しても、日本銀行がそれを際限なく購入すれば、誰も財政負担をしなくてよいというおとぎ話を信じているのだろうか。そうでないことを切に願いたい。」と結んでいます。


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今回も引用した日経新聞以外では、NHKニュースとヤフーニュース位しか私は見ていませんが、コロナショックへの経済対策の報道は多々あっても、大量の国債発行のツケをどうするかの報道は、極めて少ないです。

 東日本大震災からの復興費用については、プラス2.1%の復興特別所得税やプラス10%の復興法人特別税が創設されましたが、今回は増税の話をほとんど耳にしません。

「こんな時に増税を言うのか?」とお叱りを受けるかもしれませんが、ヘリコプターマネーのようなおとぎ話はあり得ないだろうと、私は考えています。国が支出したお金は、いつかは国民に負担が回って来るはずです。このことを直視しない今の日本に不安を感じます。

 コロナショックで大変なご苦労をされているお客様が、補助金や無利息の融資を受けられるのは、とてもありがたく感じます。しかし、いつか財政が破綻して、ハイパーインフレにでもなれば、元も子もありません。


東日本大震災の翌年、民主党、自民党(当時総裁だった谷垣氏は税理士です。)、公明党の三党合意で成立した「社会保障と税の一体改革」を私は評価しています。(あの合意が今もあれば、全国民への10万円バラマキよりも別の良い方法をとれたと思います。)

 先の三党合意には、未来の日本、こども達の未来を思う政治家の気概が感じられました。いま一度、有権者も政治家も、おとぎ話ではなく原理原則を素直に見つめてほしいと、私は切に願っています。




2020年8月号

    以下、65日の日本経済新聞のコラム「春秋」から引用します。

 これぞ芸の極み、と忘れられない思い出がある。25年ほど前、名古屋であった古今亭志ん朝さんの落語会。演目は十八番の「幾代餅(いくよもち)」だった。搗()き米屋の奉公人、清蔵が花魁(おいらん)、幾代太夫の錦絵を見て一目ぼれし、1年間必死に働いたお金で吉原へ会いに行くという噺(はなし)だ。

 いちずで真っ正直な清蔵に心動かされた幾代太夫が、「ぬし、あちきを女房にしてくんなますか」と問う。その瞬間、志ん朝さんが幾代太夫に見えた。失礼ながら外見でいえば、志ん朝さんとはまさに正反対。それなのにそこには確かに目をうるませた幾代太夫が、膝を斜めにして座っている――。しばらく動けなかった。


 新型コロナの影響で、各地の寄席や落語会は休演が続いている。インターネットを通じ落語の魅力に接する機会はあるが、やはり寂しい。動画投稿サイトで高座を生配信していた春風亭一之輔さんは「面白さは百分の一も伝わらないと思う。それでも、落語を忘れないでいてもらうためにやりました」と本紙に語っている。     

 引用を終わります。私も同じような経験があります。

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桂米朝さん(2015年没)の岡山市民文化ホールでの落語でした。その時既に人間国宝だった米朝師匠のお話に、私の全身がすーっと引き込まれたのです。目の前の景色、私の前に大勢の聴き手がいて、その向こうの舞台の真ん中に米朝師匠が座っている、その景色がすっ飛んで、米朝師匠が語る江戸時代の大坂の町並みの景色が見えたのです。ほんの一瞬でしたが、「耳で景色を見た」不思議な出来事でした。


 春風亭一之輔さんの「(インターネットでは)面白さは百分の一も伝わらない」とのお話はよくわかります。米朝師匠がテレビカメラの前で演じた映像を視聴しても、あんな不思議な出来事は起きなかったでしょう。やはり、米朝師匠の目の前に自分も含め大勢の聴き手がいて、その聴き手が熱心に聴き入っていたからこそ、話し手の芸が至高を極めたのだと私は思っています。


元の日々に戻ったら、落語も大いに楽しみたいです。





2020年7月号

もともと私はマスクが苦手です。着用が煩わしいからです。私はメガネをよく外しますが、それと同じ理由です。

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恐縮しつつ申し上げると、人がしているのも少々苦手感があります。(医療や調理に従事されている方、病気の方はもちろん別です。)

それはその人の表情がわかりづらく、気持ちもわかりにくいからです。普段の信頼関係ができていれば、気になりません。けれども、特に初対面でマスク着用の人とだと、表情や気持ちがわかりにくく、話を聞くにも話をするにも難しさを感じます。

 しかし、言うまでもなく、現在のこういう状況では、そういうことを言ってはいられません。私もマスクをなるべく着用しています。


 自分が気になるのは、新型コロナの収束後のことです。「以前の状態に戻らない」とか、「以前より良い状態にする」とかよく言われます。

 後者の例としては、先月号に書いた「意味のない会議はしない」があります。在宅勤務を取り入れて大都会の通勤ラッシュが緩和されるのもいいと思います。

 けれども、「新しい生活様式」のすべてを収束後も続けることに、私は少し違和感を覚えます。一番気になるのは、「人との距離を取る」ことで、人と人の関わりがますます薄くならないかということです。レジで間を空けて並ぶのはいいです。そういうことではなく、気持ちと気持ちの通い合いが減ることを心配しています。

 「人との距離を取る」ことにこだわって、人と話さない人が増えないか、社会から孤立した人が増えないか、大げさかもしれませんが、それが生命の軽視につながらないでしょうか。新たな感染症による死者は防げても、大きくは戦争、飢餓、身近には生活苦、児童への虐待、こういったことによる死者が増えては何にもなりません。

 新型コロナ収束後の「新しい生活様式」を考えるのは、いま始まったばかりだと私は思っています。


 話をマスクに戻します。今はせざるを得ないのですが、みなさんは呼吸が浅くなっていませんか? 曹源寺の原田老師が、「現代人は呼吸が浅い。それでは肺の中がよどんだままなので、細胞は活性化しません。深く長い息をしてほしい」と以前仰っていました。

 また、県内のある高校の野球部の監督さんの「選手に深呼吸をたくさんさせると、プレーがまったく違います」という発言も記憶にあります。


 「息」は「自らの心」と書きます。ご自分の呼吸を大切にしていただきたいです。





2020年6月号



 新型コロナウィルスの感染拡大が止まりません。今やすべてのお客様に何らかの影響がある状況です。WHO(世界保健機関)のテドロス事務局長が「テスト、テスト、テスト(検査、検査、検査)!」と叫んでいた2月に、政府がPCR検査を拡大しなかった(できなかった?)ことが、(専門家ではないですが)私は悔やまれます。しかし、それも今だから言えることでしかありません。これから何をどうするかです。


お客様方にはお願いのお知らせをしましたが、私どもの事務所でも在宅勤務を一部取り入れました。原則認めていなかった、休日出勤の平日への振替も可としました。先月号に書いたように「できることを(探して、探して)やる」しかありません。

 「不要不急の外出を控える」ことで、私が属する税理士会、TKC、同友会も、すべての研修・会合がなくなりました。(皆様方も同様だと思います。)

 そこで私は自問しました。「TKCや同友会の会合は、すべてとは言わないけど、ホントに必要だったのだろうか?」と…。私が考えて出した答えは「多くは必要だった。」というものです。正直、TKCと同友会がなかったら、今の事務所とは似て非なるものにしかなっていません。

けれども、確かにムダな時間はありました。自分から好んで行った訳ではなく、つき合いで出かけた行事、一部の人だけで物事が決まるのに、ただ聞いているだけの会議、ああでもない、こうでもないだけで結論が出ない会議です。再開してもこんな会合は改善を求めるか、行くのを止めようと思っています。

 

 今の世の中は不幸です。にもかかわらず、その不幸の中で、大切なこと、必要なことは何なのか、よくよく見極めることが、限られた人生を大切に生きることにつながる、と私は信じています。不要と不急をごっちゃにしてはいけないです。

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  休店された飲食店業のお客様にお話ししました。「休店となると、人とお酒を飲みに行くことはなくてもいいと思えてしまう。自信を失う社員さんもおられるかもしれません。しかし、決してそうではない。会いたい人と一緒に飲食を共にし、語り合う。そういう幸福の場を提供するお仕事は、世の中に必要です。そのお仕事への誇りを失わないでほしいです。」と…。

 今は「いつか飲みに行こうと思っていた人と、行っとけばよかった。」と思うことが多いです。早く平穏無事な日々が戻ることを強く祈念し、いろんな人と大いに飲みに行けることを私は楽しみにしています。





2020年5月号


 新型コロナウィルスの影響が私どものお客様にも及んでいます。地方都市の岡山も、日本全国、世界とつながっていることを、こんなことで実感させられます。

 先がまだ見えないだけに、監査担当の報告書を読むと、大きな影響を受けておられるお客様のことがとても気がかりです。

 その中で一つだけ悪くない報告がありました。今時点では観光業の次に影響を受けている飲食店業に属しておられるお客様が、「外的要因なので売上への影響は仕方がない部分がある。お店はできるだけのことをして、過敏になりすぎないようにしたい。」と言われたのです。 

 「なるほど、そうか。」と感じ入り、思い出したのが元プロ野球選手で巨人やヤンキースで活躍した松井秀喜氏の言葉です。「どうにもならないこと、ではなく、今、自分にできることに集中するしかありません。」と同氏著の「不動心」にあります。松井氏は「過去の自分はコントロールすることはできません。しかし、未来の自分はコントロールできます。」とも書いています。                                (ヤンキース時代の松井選手)



 また、横浜ベイスターズからレイズに移籍した筒香嘉智選手の「開幕延期は僕たちが左右できない。」という言葉が、326日の日本経済新聞「順風逆風」に紹介されていました。

 記者の篠山正幸氏は「自分ができることは全てやると心に決め、実行する。その積み重ねから筒香のような(一流)打者が生まれてくる。」と記しています。              


 大変にご苦労されているお客様が、ご自分の心だけは穏やかであってほしいと切に願い、この災禍が一日でも早く収束し、世界が平穏な日々を取り戻すことを強く祈っています。

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 さて、先月号で「人々の、世界の人々の幸福のためには、世界は分断ではなく、連帯に向かうことが望ましい、と私は思っています。その理由は、一人の人の誕生という神秘は、すべての人々の連帯があってこそ、起きているからです。」と述べました。

お恥ずかしながら少々大仰な物言いでした。が、私ごとながら、孫が生まれました。

1月には娘夫婦が、3月には息子夫婦が、どちらも男の子を授かりました。

人並みに心配はしていましたが、それこそ、私にできることは祈ることしかありませんでした。こうして二人が無事に産まれてきてくれたことを、神さま仏さまとすべての人々に、ただただ感謝するしかありません。





2020年4月号

     


 野村克也さんの訃報を聞いて、昔のことを思い出しました。前月号に書いた(私が幹事をした)ダンスパーティの会場が東京のサンケイホールで、そのビルのエレベーターで野村さんと偶然一緒になったのです。同じビルにフジテレビが入っていて、当時は同局の野球解説者だったと記憶しています。「話しかけるなよ」という空気満々のしかめっ面でした。野球選手にしては見るからに背が低く(175)、よくぞ超一流の記録を残せたのものだと驚いたのを覚えています。


 エレベーターと言えば、電通の本社ビルで、女優の多岐川裕美さんと一緒になったこともあります。「鬼平犯科帳」での、主人公 長谷川平蔵(中村吉右衛門)の奥方役が印象的です。実物もとってもステキで、しかもこの時は、多岐川さんと二人っきりでした。その空間で吸った空気を、エレベーターを降りてから吐きたくなかったです。


 さてさて、米国では秋に大統領選挙があります。共和党と民主党の候補者選びは始まったばかりですが、無責任に言えば、トランプ大統領はおそらく再選されるでしょう。習近平もプーチンも金正日も健在で、分断の時代はまだまだ続きます。

 しかし私は、人々の、世界の人々の幸福のためには、世界は分断ではなく、連帯に向かうことが望ましい、と思っています。理由は単純です。以前ここに書いたように、一人の人の誕生という神秘は、すべての人々の連帯があってこそ、起きているからです。

  経済も同じです。一橋大学名誉教授の野中郁次郎氏(ある時講演を聴きましたが、飾らないお人柄が魅力的でした。)が、昨年9月の日本経済新聞「私の履歴書」の最終稿に、こう書かれています。



 「アダム・スミスは『国富論』で自由競争の効用を説く一方、『道徳感情論』では同感の大切さを訴えた。他者への同感という基盤があって、初めて市場競争が意味を持つ、というのがスミスの思想だ。ところが、株主資本主義や金融資本主義がまん延し、人々から同感が抜け落ちている。今こそスミスの原点に戻ろう。」



 ここでいう同感は「すべて賛成すること」ではないと、私は考えます。自分と違う考えを認めることも同感だと、野中先生は考えておられるはずです。                                                    (アダム・スミス像と野中氏)


ちょうど天皇誕生日に、陛下が「多様性に対して私たちは、寛容の心を持って受け入れていかなければならない」と仰っていることも同感だと、私は思量しています。


私たちは、次世代への責務を負っているという意味で、大変な時代を生きています。


 



2020年3月号

   

 正月の初夢で富士山を見ました。家内と一緒に伊豆を歩いていて、空を見上げたら、青々とした富士山がそびえていたのです。今年は更にツキそうです。



 さて、人と「合う、合わない」という話を、職場についてもたまに耳にします。しかし、職場というある目的(私は理念追求だと思っていますが、ここでは利益追求でもいいでしょう。)のために一緒に働く以上、人の好き嫌いは、捨てろとはまでは言いませんが、脇に置くのが本当、あるいはプロのあり方ではないかと私は思っています。


 昨年12月12日の日本経済新聞「逆風順風」(篠山正幸記者)に、かつての広島の黄金バッテリーである大野豊投手と達川光男捕手のことが書かれていました。

記事の3日前にあった、年間最優秀バッテリーを表彰するパーティで、選考委員の大野氏が明かしたのは、「おしゃべり」な達川選手とは最初は性格的に合いそうになかったということです。寡黙な大野選手とは確かに合わなかったでしょう。


しかし、達川選手と、チームを強くしたいという思いを共にし、自分の考えと相手の考えのどっちがいい悪いでなく、常に話し合って、お互いを理解することで、信頼関係ができ、黄金バッテリーになっていったそうです。


篠山記者は「これほどざっくばらんに語れること自体、同い年でもある2人の絆の強さを示すが、仕事上の相方選びと、肌の合う、合わないは別問題という、プロフェッショナルな人間関係のあり方がみえるようでもあった。」と書き、そして「いくらいい人で、性格的に申し分なくても、力がなければ組んでも勝てない。勝てなければ給料が上がらない。となると、多少性格は合わなくても、仕事ができる人と組んだ方がいい、ということになる。」と続けています。


 かく言う私も、サラリーマン時代、不仲な同期とダンス(ディスコ)パーティのダブル幹事をやる羽目になりました。最初は嫌でしたが、従来の3倍もの会場に変更した企画を成功させたい気持ちが強く、約1ヶ月間ほぼ連日睡眠4時間という必死の準備をした甲斐あって、パーティは大盛会。終わってみたら、彼との信頼関係ができていました。とっても不思議な感覚でした。







2020年2月号

   


 とある講演を聴いていて、自分が日本経済新聞のある記事をスルーしていたことに気づきました。それは816日に、若林直樹 京大教授が中小企業の働き方改革について書かれたものです。記事では、英国の大学教授の「一般に中小企業での労働者の職務に対する満足度は大企業よりも高い」という調査結果が紹介されています。

 若林教授は「中小企業の場合には仕事の自立性や裁量の範囲、経営側との対面的なコミュニケーションの多さが満足感につながっている」と書かれています。

 中小企業の強み、すなわち、中小企業で働く社員のヤル気を生かした経営をしないともったいない、と私は思った次第です。

 

 同じ日経新聞の1221日の「私の履歴書」に、㈱TDKの澤部肇元会長が社長就任直後のことを書いておられました。以下はその引用です。


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大阪の本社を訪ねると「今夜空いていますか」と聞かれた。あなたに贈り物があると言う。なにか記念品をくれるのかと思ったら、酒席でこんな話をしてくださった。

「社長になってしばらくたつと知識がついて、いろいろなことに自分の考えを持つようになります。

社長になっての挨拶回りでは(中略)松下電器産業(現パナソニック)の谷井昭雄さん(当時相談役)の話が印象深い。

 そうなると、自分の考えと同じことを言う人ばかりを評価するようになって、違う意見の人の話を聞かなくなる。それは仕方のないことです。しかし、そうなるということはよく覚えておいてください」  

  (Wikipediaより

 単に意見の違う人の話を聞けというのではなく「人間、そうなるのは仕方ないことなのだ」という谷井さんの話はすんなりと腹に落ち、社長時代、常に思い返す座右の銘になった。この話は後に社長を辞めるとき、身にしみて思い出すことにもなる。



引用を終わります。「社長になるとイエスマンで周りを固めるようになる」という話はよく聞かれます。谷井氏の話がひと味違うのは、そのことを完全否定せず、「仕方のないこと」と受け止めながら、「そうなることはよく覚えておく」と極めて実際的な思考方法を示しているところにあると私は思います。


私たち中小企業の経営者も、肝に銘じる必要があるのではないでしょうか





2020年1月号

   


 体脂肪計で世界一となり、社員食堂でも話題になった株式会社タニタの創業一族である谷田昭吾氏の講演を聴く機会が、この7月にありました。

 講演では先代から学んだ経営学を論理的視点でご説明され、ご自身が学んできたポジティブ心理学(個人や社会を繁栄させるような強みや長所を研究する心理学)の視点から、ビジネスや日常生活で成功法則を実践するための方法をお話しくださいました。


(写真は同氏のFacebookより)

スナップ1 その講演の最後に勧められたのが「心をポジティブ(前向き)にする方法」です。それは、①その日嬉しかったこと3つと、②その3つに自分がどう関わったかからそうなったかを書き留める、というものです。


3日坊主でぐうたらな私は、3ヶ月だけ、しかも1つだけでやってみることにしました。1日の振り返りなので、書くのは毎日寝る前です。

そして3ヶ月が経ちました。あくまで私の場合です が、わずか2パターン(思考が単純なのかも?)に集約されました。


「××(多くは仕事)が無事終わって嬉しかった。自分なりにがんばったから・・」と「○○さんから良くしていただいて嬉しかった。○○さんを大切にしてきたから・・」の2パターンです。


 上記の①と②の2つをなぜ書くのか、谷田氏のご説明はなかったです。が、①の嬉しかったことを書くことで、前向きな気持ちに自分の心を向ける意味があるのは、私でもすぐわかりました。しかし、②のそれに自分がどう関わったからそうなったかを書く理由は、まったくわかりませんでした。


 けれども、3ヶ月続けたらわかりました。私の場合は、自分の頑張りと人を大切にすることで、自分の喜びや幸せが得られる、ということが。



 喜びも幸せも偶然やって来るのではなく、自分の考え方と行動次第ということです。言ってみれば、当たり前のことのようですが、意識の上の方に置けるか置けないかで違ってくると私は思います。


 ともすれば「がんばりすぎない」とか、再々申し上げているように「人と人の関わりが薄くなっていく」昨今です。そんな中で、自分と周囲の人々の喜びや幸せのために自分がどうすればいいのか、大切な確認ができたと私は思っています。



 あるTKC会員が「人の話を聴いたら1つでも実践してみろ!」と仰っていましたが、まさにその通りでした。







   

2019年12月号

     


 

 今年822日の日経新聞に、女子柔道家の出口クリスタさんが紹介されていました。カナダ人の父と日本人の母の間に長野県で生まれ、3歳からずっと日本で柔道一筋です。

 高校時代はパワーで押す柔道でライバルの芳田司(つかさ)を破るなど前途洋々でした。ところが、大学時代はその「強引に相手に押しつけてきた」戦いが通じなくなりました。スランプが続き、2016年の講道館杯では2回戦で敗退してしまいます。

 五輪もうたかたの夢になりかけていた時、カナダの代表コーチから誘いを受け、裏切りと思われないかと悩んだ末、カナダ代表として五輪を目指すことを決意します。

 国籍変更に対しSNS(交流サイト)上には「日本から出て行け」という心ない声も届いたそうです。

 しかし、その何十倍もの応援の声が彼女の支えになりました。勤務先の日本生命甲府支社の上司は「どこの代表かは関係ない。五輪で活躍する姿が見たい」と話しています。


 出口選手自身、自分のためだった決断が「今は、家族や受け入れてくれたカナダの人たちを含め、いろいろな人の気持ちを背負っている」と噛みしめています。

 そして、カナダチーム内の「負けても怒られない」空気のおかげで、負けても「次、がんばろう!」とすぐに気持ちの切り替えができるようにメンタルが大きく変わりました。


 その結果、2018年には5つの国際大会で優勝しました。その年の世界選手権では、準決勝で芳田選手に負けましたが、今年の世界選手権では、決勝でその芳田に勝ちました。東京五輪の決勝戦で、日本代表(芳田司?)と対戦することを私は期待しています。


 


それにしても「日本から出て行け」はあまりにもひどいです。先月号で紹介した、世界的投資家であるジム・ロジャース氏の言葉の中に「日本人は外国人に対する差別意識をなくす必要がある」というものがありました。それを思い出しました。


 ラグビーW杯の釜石での試合が台風19号で中止になった後、カナダ代表の選手たちが、泥かきや家財の運び出しなどを手伝ってくれました。出口選手への心ない一言を思うと、カナダの人たちに申し訳ない気持ちがします。


けれども、今回のラグビーW杯で、日本人の外国人に対する理解は、ずいぶん進んだのではないでしょうか。選手31人中15人もが海外出身ながら、「ワンチーム(ONE TEAM)」としてベスト8を成し遂げた日本チームの活躍ぶりは、日本人の価値観を変えるほどのものではなかったでしょうか。